まいど〜。
「なが〜ン堂」へようこそ。
ああ、初めてのお客さんやね。
ここは、商店街の端っこにひっそり建ってる小さな店やから、
気づいてくれただけでありがたいわ。
「ここ何の店なん?」って?
そらそうや。扉にダンボールマジック書きの看板を貼っているだけやし、
シャッターも半分しか上がってへんしな。
ここはな、店主が人属「なが~ン」の日常を切り売りして並べてる雑貨店やねん。
レンタル料は無料。
返すときに「なんやこれ」って感想置いていってくれたら、
それだけで徳がちょっと増える仕組みや。
ほな、棚を見ていこか。
あっちの棚には「関西お笑い自虐シリーズ」。
こっちには「努力したつもりで失敗したシリーズ」。
どっちも湿気吸ってちょっと反ってるけど、味はあるで。
「煌びやかな商品はないの?」って?
あれは商店街のメイン通りにある、
資金力たっぷりの店主の店に行かなあかん。
うちは素材が陳腐してるから、光るもんは置いてへん。
でもな、
ひっそり重くてヒタヒタ濡れるネタなら
松竹梅コースで取り揃えてるわ。
濃厚やで。覚悟してな。
「棚がごちゃごちゃして分からん」って?
そらそうや。
店主が“今が旬や”と思ったもんを
ポイポイ並べてるだけやから、
収拾つかんのよ。
だから看板に書いてるやろ。
**『なが〜ンのごちゃごちゃ』** って。
……ん?
奥の「ジャンク」に興味あるんか。
あちゃー、それ見つけたか。
棚のは一般向けやけど、
ジャンクは“分かる人だけが手を染める世界”や。
品質保証なし。
でも、なぜか考えさせられる不思議なパッケージ。
赤いコンテナは「綱渡りの生活」。
青いコンテナは「ポンコツ車のツンデレ」。
車好きなら刺さると思うで。
上の白いコンテナ……
あれは「治療費に押しつぶされるオッサンの苦悩」。
濃厚や。
開けるなら覚悟やで。
「メニューは?」って?
そんなん無い。
ごちゃごちゃやから、メニュー作ったら負けやねん。
でもな、裏メニューは……
まあ、常連さんだけの秘密や。
本店は倉庫みたいなもんやけど、
まだ案内せんよ。
倉庫は風通し悪いし、
店主の生活感がむき出しやからな。
「店員は店主だけ?」って?
いや、看板猫になりたいって子が一匹おるんよ。
まだ調教中で、破壊力が強すぎて扱うのが大変やねん。
そのうち現れたら、こっちの店でも紹介するわ。
さあ、どれにする?
この店はごちゃごちゃしてるけど、
気に入ったらゆっくりしていってな。
